最高裁判所第二小法廷 昭和31(オ)221 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告理由について
第一点。
原審挙示の証拠によれば、原審の認定は十分首肯するに足り、右各証拠と対照す
るときは、所論乙号各証によるも、未だ原審の認定を違法となし難く、引用の判例
は本件に適切でない。所論は結局、原審が適法にした証拠の取捨判断、事実の認定
を非難するに帰し、採用できない。
第二点。
証人は真実を述べるべきであり、したがつて、証言をなすに当つては、なんら所
論の如く、さきに証人が作成した書面の記載に拘束されるべきものではない。所論
は、到底採用し難い。
第三点。
原審は、本件建物の所有権が未だかつてDに属したことはない旨認定しているの
である。それ故、右Dに対する債務名義に基づき本件強制執行をなし得ないことは
いうまでもなく、このことは、たとえ上告人において右建物をDの所有と信じ、か
つ、かく信ずるにつき所論の如き事由があつたにしても、その理を異にすべきいわ
れはない。されば原判決に所論の違法はなく、論旨は理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
- 1 -
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
- 2 -